独身が寂しい人に出逢いをもたらす学びと行動

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「40代からの独身」女性の貧困リスクと男性の孤独死リスク

冬枯れの道が寂しい未来を暗示しているようなイメージ画像

40代からの男女に共通の独身リスク

孤独

40代に至らずとも「孤独」に悩まされる独身者は多いと思います。自分が世の中の誰とも繋がっていないような、いてもいなくても誰にも何とも思われない存在のような、そんな孤独感を私自身も感じていた時期があります。

人はもともと集団生活に適応してきた生き物ですし、周囲の人々とコミュニケーションを図りながら助けたり助けられたりして暮らしているのが、おそらく本来の姿なのだと思います。

先日目にした新聞記事では、「除夜の鐘がうるさい」という苦情が増えていて、撞鐘を自粛する寺院が全国で続出していると報じられていました。記事は「他人の音が許せない不寛容な人間が増えている」と伝えていました。

保育園などの児童施設の建築が地域住民によって拒まれることと同質の問題だと思いますが、長きに渡って培われてきた「おたがいさま」の精神にみられるような叡智が、今この時代に消えていこうとしているかの様です。

お互い様な猫と犬のイメージ画像

けれども人間は本能として関係性を求める生き物です。「孤独を愛する」という人もありますが、それは必要十分な関係性を確保できているから言えることであって、私は「関係性が乏しい」ということは「死んでいる」に等しいと感じています。

「他人のことは認めたくないけれど、自分は認められたい」という人がいたら、誰がそんな人を相手にするでしょう。そんな極端に自分本位な人間が増えているのも、現代の社会が抱える病なのかもしれません。 当然のことですが、極端に自分本位な人は他者と生活を共にするということが出来ません。試みたとしても程なく分離するのは明らかです。

そうしてみると「鐘撞き自粛」などの事例は、関係性の乏しい人がクレーマー化して一方的に自己顕示をしているというのが事の本質であるようにも思えます。 ともあれ、孤独は人を蝕みます。

孤独を愛する人の「孤独」は程々の孤独なので参考にはなりません。本当の孤独は人を死にいざなうほどに重く深刻なものです。ですから安易に孤独を選択してはいけません。そして関係的な暮らしの中に身を置いてゆこうとするのであれば、必要な対策には一日でも早く着手するべきです。

例えば50歳前後のアラフィフ独身者は「もう結婚はあきらめて生涯独身を覚悟しようか・・・」などと考えたりすると思いますが、できれば門戸は閉じず、パートナとの出会いを求め続けるべきです。それは必ずしも結婚でなくて良いと思いますが、互いに支え合える誰かとの関わりは生涯に渡って必要です。どうか出会いをあきらめないで下さい。

健康不安

言うまでもなく、人は老います。私のことを言わせてもらえば、かつては人並み以上に柔軟だった身体が今はガチガチですし、40代からは白髪が急速に増えました。鼻毛にまで白いのが出てきて鼻孔にキラキラとよく目立つので嫌になります。検診を受ければ悪玉コレステロールと肝臓の数値が高く、メタボ判定の境界を行ったり来たりしています。

40代も後半になると誰もが体の衰えを実感し始めると思いますが、外見の老け具合も取り繕いにくくなってきますし、男性であれば普通にできていた仕事で筋や関節を損傷したり、女性であれば更年期障害なども現れ始めたりします。そしてやはり年齢とともに三大成人病とも言われる「がん」「脳卒中」「心筋梗塞」のリスクも高くなってきます。

医療のイメージ画像

気分はいつまでも30代のままだったりするところに、否応のない老いの現実をこれでもかと突きつけられるのがアラフィフ世代の現実です。 あまり考えたくはないことですが、40代以降の独身者であれば独り身で病気になったときのことを想像してみることはあると思います。すでにそんな場面を経験して悲惨な思いをされた方もあるのではないでしょうか。

アラフィフ世代はまだ親が健在である場合も多いのですが、その親も介護が必要になるほどに高齢なのですから、やはり自分が病んでしまった場合は深刻です。休養で収入が途絶えるような就労状況であれば、一気に生活が困窮する事態もありえます。

そんなとき、やはりパートナーの存在があれば心強いです。いつも喧嘩ばかりしている夫婦でも、どちらかが病のときは相手を気遣えたりして、互いの存在の有り難さを再確認できたりもします。 独り身の病は寂しいものです。あるいは独身の背景として身体障害や難治性の持病を抱えてこられた方もあると思いますが、それでもパートナーを得る可能性は捨てないでほしいと願います。

以前、目が見えず耳も聞こえない女性と50代同士で結婚し添い遂げた夫婦の心震えるドキュメンタリー番組を観たことがあって、調べてみたところNHKアーカイブで視聴が可能です。単品視聴が220円の有料配信ですが、結婚に悩んでいる多くの人にお薦めしたい本当に素晴らしい番組です。

NHKスペシャル「見えず 聞こえずとも~夫婦二人の里山暮らし~」

自身が病んだときに寄り添ってくれる人の無い孤独は、とても寂しいものです。できれば関係的な環境で心身を癒す事が出来るように、置かれた状況によって対策も異なりますが、保険や社会保障制度の応用も含めて、現実的な備えを始めてゆきましょう。

 

アラフィフ女性に顕著な独身リスク

貧困

社会的な背景として、日本では今なお女性の就業が男性に比べて不利である状況があります。平成29年の総務省の統計では、男性一般労働者の給与水準を100としたときの女性一般労働者の給与水準は73.4となっています。25%以上給与水準が低いわけです。

さらに非正規雇用労働者の割合を見ると、男性は21.9%、女性は55.5%であり、男性は2割弱なのに対して女性は半数以上が非正規労働者となっています。

非正規労働の何が問題かというと、正職員と同様の仕事をしていながら所得水準が低いことも問題ですが、雇い主側の都合で簡単に解雇されてしまう状況は大変な不安要素です。職を転々とするためにスキルアップにも繋がりにくく、やがて年齢が進むと、年齢だけでふるいにかけられて希望の職に就けないという事態も生じてきます。

以上のような背景があって、母子家庭の貧困が社会構造にも原因のある問題として注目されていますが、未婚女性の貧困もまた同じところに根源を有する深刻な課題です。

貧困問題を伝える新聞のイメージ画像

現状では安定的な職についていて十分な収入を得ているという方でも、病気をきっかけに貧困に陥るということもあります。余裕があれば労働所得以外に資産運用など不労所得の構築に取り組んだり、隙間時間で何らかの技能の習得に励むなど、自己を開拓しておくことも備えとして有意義です。

ただし、問題は現時点で生活が困窮している場合です。貧困はいったん陥ると悪循環にはまり込んでしまい、なかなか浮上できにくいものです。  そこで、まずは行政による支援に該当するするものがないか調べてみましょう。行政サービスは自分から求めることをしなければ利益を享受できないものがほとんどです。

例えば国民健康保険税や住民税が減免されたり、失業手当を受給しながら職業訓練校で技能講習を受けられるなどの制度もあります。何らかの技能を身につければその業界に属して、職業を転々としなくて済むようになるかもしれません。続けることで熟練し、需要のある人材として社会に役割を見出すことも可能になります。

行政による支援は探せば色々あるのですが、それを知らぬまま生活苦に喘いでいる人は少なくないと思います。そうした有益な行政サービスの情報は、自治体(県や市町村)の広報誌や役場の掲示版、パンフレット類、同様に職業安定所(ハローワーク)の掲示版やパンフレット類などで告知されている場合が多いです。

あるいはインターネットでも自治体やハローワークのホームページが閲覧できますので、覗いてみましょう。 繰り返しになりますが、多くの自治体(市区町村)は住民に対して生活支援などの情報を積極的には提供していません。制度を設けて広報誌やホームページに情報の掲載はするのですが、困っている人を探し出して制度の利用を勧めてくれるようなことまではしてくれません。

ですから私たちは自分で積極的に情報収集に動かなければなりません。人生の窮地においては、なりふり構わない行動が必要な場面もあります。ぜひ勇気を出して行動してみましょう。

そしてやはり、支え合える誰かの存在というのは何よりも心強いものです。自身が病気で働けなくなったりしても、パートナーがあれば急速に生活苦に陥ることもありません。もしも敢えて独身を貫こうとされているのでなければ、良きパートナーとの出会いを求める行動にも力を入れてみてはいかがでしょうか。

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アラフィフ男性に顕著な独身リスク

孤独死

平成28年(2016)人口動態統計の年間推計によると、45歳から64歳の未婚男性の死亡率は、同じ年齢層の既婚男性より2倍以上高くなっています。これについては独身であるがゆえに日頃の健康への配慮が疎かになりやすいことや、急病の際に異変に気付いてくれる人がいないなどの理由が考えられます。

独身者において死亡リスクが高い傾向は女性にも見られますが、男性ほどではありません。このことは同時に男性の孤独死リスクが高いことをも意味しています 2016年の東京都監察医務院による取り扱い実績では、一人暮らしの死者数は 6,109人でしたが、そのうち男性は 4,136人、女性は 1,973人で、孤独死の約 7割は男性でした。

発生のピークは男性が 65~69歳で 742人です。アラフィフ世代で見ると 45~54歳の男性は 453人、女性は 114人で、男性の孤独死発生件数は女性の4倍に上ります。 

 男性に孤独死の発生が多い理由は、やはり孤立しやすい性質にあります。悲惨な生活実態があっても人を頼らず、それを自分だけで何とかしようとして孤立を深めてしまいます。自分が誰のために、何のために生きているのかという目的意識が持てず、孤独を飲酒で紛らすような不健康な習慣も常態化しやすいのです。

飲酒が過ぎて倒れているイメージ画像

孤独で寂しくて人恋しいとき、もっと素直に人との関わりを求めることが必要です。生活が苦しかったなら、遠慮し過ぎずに支援を求めることも必要です。行政の支援や相談対応は、自身から求めることもしなければ、向こうから世話を焼いてくれるようなことはありません。そうした対応がなされるのは多くの場合、事態がよほど悪化していた場合です。

人に迷惑はかけまいと、苦しい状況を自分だけで抱え込んでしまうことは悪循環しか生みません。一方で、少しだけ人を頼ってみることで好循環が生まれ、社会との関わりが回復していくことは十分にありえます。

私自身も民生委員を3年間務めましたが、市区町村役場の福祉関連課や、地域に配置されている民生委員社会福祉協議会などは、そうした人を支援するために連携して活動をしています。頑なにならず、人を頼ってみることが必要です。

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